活気づく図鑑市場 「楽しく」「勉強になる」を1冊で(産経新聞)

 子供向けの図鑑がおもしろい。ウミガメやジュゴンなどを「実物大」の写真で紹介したり、小学生と世界最大の動物、シロナガスクジラを「比べる」など、アイデアを凝らした図鑑が次々登場。大人から就学前の小さな子供まで人気を集める図鑑は「楽しく」「勉強になる」、そして「お得感」がキーワードのようだ。(岸本佳子)

  [フォト]子供も大人も「チリモン」ブーム 手軽に生き物観察

 ◆実物大の驚き

 3月発売の『ほんとのおおきさ水族館』(小宮輝之監修、学研教育出版)。水中の生き物を本物そのままの大きさで収める。

 折り畳まれたページを開くと、全長約90センチのメガネモチノウオの姿。シャチは、さすがに入りきらないので顔の部分のみ。それでも、子供の指より太い歯やつやつやしたピンクの舌など、手に取るようによく分かる。セイウチも、50センチ以上ありそうな長い2本の牙ののぞく顔の部分をそのまま収録した。写真絵本のようでもある。

 『水族館』は『ほんとのおおきさ』シリーズの3作目。刊行の発端は、同社図鑑・百科編集室の西川寛さんが動物園を訪れた際、キリンの顔を間近で見て鼻息まで吹きかけられ、仰天したことだった。「この体験を絵本の形にできないか」と考え、一昨年、第1作の『ほんとのおおきさ動物園』を出版。「実物大で見せるアイデアに驚いた」など反響が大きく、海外でも5カ国語に翻訳され、アメリカでは半年間で10万部を超える大ヒットとなった。

 「電子書籍などがはやっていますが、この企画は紙の本でないとできない」と西川さん。1、2歳の乳幼児も喜んで見たり、お父さんやおじいさんが読み聞かせに活用しているという。

 ◆比べて楽しむ

 昨年話題となった図鑑が『小学館の図鑑NEO+ぷらす くらべる図鑑』。昨年7月に発売、現在まで8刷り54万部に達している。「1年以内でこれだけの数字というのは異例の動き」と同書担当の小学館出版局、廣野篤さんも驚く。特徴はその名の通り、何でも比較して楽しみながら読めるような工夫。アフリカゾウと小学生の体重、世界で一番高い樹木と大阪の通天閣、ヒトと、サル、ブタ、ヤギといった動物の歯も比べてしまう。

 「『この生き物は何メートルです』というだけでは、その前を通り過ぎてしまう。何かと比べることで『こんなに大きいのか』と見えてくる」と廣野さん。「意外なものを並べているので驚いたり笑ったり。雑学的に肩ひじ張らずに読めて、役に立つ。そんなところがよかったのかもしれません」

 1冊にさまざまな要素が盛り込まれた“お得感”も売れ行きを伸ばすポイントとみるのは、ジュンク堂書店大阪本店(大阪市北区)児童書担当、米谷薫さん。従来のセット売りの図鑑は「金額的なこともありますが、『置く場所がない』という声も聞きます」。1冊で楽しめて勉強にもなる図鑑に注目が集まっているという。

 ■需要は春先、クリスマスプレゼントにも

 図鑑の需要が高まるのは、入学進学前の春先と、夏休みの自由研究などで子供たちが必要に迫られる7、8月。また、1冊で楽しめる図鑑の登場で、「クリスマスプレゼントとしてもよく売れました」(ジュンク堂書店大阪本店の米谷さん)という。『ほんとのおおきさ』シリーズや『くらべる図鑑』のほか、衣食住の基本が学べる『せいかつの図鑑』(小学館)、地球や自然のことから文化、歴史まで盛り込んだ『こども大図鑑』(河出書房新社)なども人気だという。

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